絶対に端折ってはいけない保険 その②
前回、自動車保険の必要性をお伝えしましたが、前回に続き、今の社会を安心して暮らす上で、リスクマネジメントの観点から絶対に加入すべき保険について、もう一つお伝え致します。それが、『自転車保険(個人賠償責任保険)』です。
その保険の重要性を話す上で、平成25年に兵庫県で起きた有名な判決事例があります。
男子小学生(11歳)が夜間、スイミングスクールからの帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突をしました。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態になりました。
この時、神戸地方裁判所は、『児童の母親(40歳)が十分な指導や注意をしていたとはいえず、監督義務を果たしていなかったのは明らか』として、母親に対し、なんと9,521万円を支払うように命じたのです。
一瞬の不注意で起きた事故で、被害者の方が取り返しのつかない状態になってしまいました。そして、とんでもない賠償責任を負うということになった一例ですが、これは自転車に乗る人なら全員にあり得るリスクだと思います。
裁判所は判例主義ですので、今後、同じような事故が起こると、この判例を参考にして判決を下すでしょう。
自転車保険には、自分自身がケガをしたときにも保障が付加されていますが、そこが目的ではなく、やはり『個人賠償責任保険』が最大の目的です。
自分や家族がもし、加害者になったとき、とんでもない損害賠償請求が来る可能性があります。
このような場合は、リスクマネジメントとして、リスクを移転させるための保険加入が合理的です。
個人賠償責任保険は、自転車保険に付加されているので、自転車保険をお勧めしていますが、一番手軽にこの保険を付加できるのは、自動車保険、もしくは火災保険です。
自動車保険、火災保険に特約で個人賠償責任特約を付加すると、保険料がとても安いんです。
この保険は、一家に一契約あれば、家族全員、別居の未婚の子供までカバーできますので、自転車に乗るという人は、必ず付加しましょう。
最後に、リスクマネジメントは『損得勘定』で判断するものではありません。自分及び家族がもし事故を起こしてしまったときに、経済的に困るか困らないかが判断基準です。
困らないものは、自分自身でリスクの責任をカバーする。しかし、困ってしまうときは、保険会社にリスクを移転する。
もちろん、事故を起こさないように、リスクをコントロールすることが一番必要ですが、リスクマネジメントの考え方は非常に大切だと思いますので、2度に渡ってお伝えしました。
次回は、地元ネタを楽しみにしてください☺