『無所属の時間で生きる』より
作家・城山三郎さんの著書『無所属の時間で生きる』をパラパラめくっていると、『慶弔積立金なんて』というエッセイに目が止まりました。
大学時代、ロシア語シナ語クラスに所属したことから、同期会に参加された城山さん。いざというときの為、会のメンバーで慶弔積立金を貯めることになりました。
同期会で会うメンバーは気心知れた友人が多いのに、実は友人たちにまつわるさまざまなエピソードについて、あまり語られてこなかったことに気づきます。
そのエピソードの最後に語られている文章がとても美しいのです。
”慶弔積立金もいいが、それよりも、友人にまつわるよい思い出を互いに積み立てておきたい。
人生にあぐらをかき、安定した話などは、どうでもよい。出世した話や金もうけの話は、ときに卑しくひびく。
結果はともかく、在るべき姿を求めて、いかに悩み、いかに深く生きたか。いかにさわやかに、いかに優しく生きたか。
よい思い出のためには、よいつき合いも要るが、よいつき合いとは何なのか・・・。学生時代に戻ったように、問いかけは果てしない。”
青年のようなキラキラした文章を書かれる城山さん。
結果はともかく、在るべき姿を求めて、いかに悩み、いかに深く生きたか。いかにさわやかに、いかに優しく生きたか。
本当に勇気が湧いてきます。
時間とは命そのもの。
仕事も家族との時間も友人と語り合うことも有限。その限られた時間を、深く優しく出来るだけ愉快に過ごしていきたいものです。