高齢者でも賃貸借契約を結べる?入居制限や審査にかからないコツも解説

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高齢者でも賃貸借契約を結べる?入居制限や審査にかからないコツも解説

高齢者が賃貸物件を借りる際、入居制限や審査通過の難しさが課題になることがあります。
大家さんが入居制限を設ける理由や審査で注意すべきポイントを理解することが重要です。
この記事では、高齢者の入居制限や審査が通りにくい理由、賃貸物件を借りるコツについて解説します。

高齢者の入居を制限する理由とは

高齢者の入居を制限する理由とは

高齢者が賃貸物件を探す際、年齢を理由に入居を断られるケースが増えています。
とくに、70歳以上の方々は、賃貸借契約のハードルが高くなるでしょう。
この問題の背景には、大家さん側の懸念やリスクが存在します。
ここでは、大家さんが高齢者の入居を制限する理由や、その割合について解説します。

70歳以上の高齢者が賃貸借契約で直面する課題

70歳以上の高齢者が賃貸物件を借りる際、以下のような課題に直面することが多いです。
まず、健康上のリスクが挙げられます。
高齢者は持病や体調の変化が起こりやすいため、万が一の際に迅速な対応をしなくてはなりません。
しかし、単身高齢者の場合、緊急時の対応が難しく、大家さんはその点を懸念します。
次に、家賃の支払い能力に対する不安があります。
年金生活者が多い高齢者は、収入が固定されているため、予期せぬ出費が発生した際に家賃の支払いが滞るかもしれません。
そのため、大家さんは家賃滞納のリスクを考慮し、入居を躊躇することがあります。
さらに、孤独死のリスクも大きな懸念材料です。
高齢者の一人暮らしが増加する中、万が一の際に発見が遅れると、物件の価値低下や次の入居者探しに影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを避けるため、大家さんは高齢者の入居を制限することがあります。

高齢者の入居制限をおこなう大家さんの割合

高齢者の入居を制限する大家さんの割合は、調査によって明らかになっています。
2019年の公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、賃貸人の約6割が高齢者の入居に対して拒否感を抱いていることが分かっています。
とくに、単身の高齢者(60歳以上)に対して11.9%、高齢者のみの世帯に対しては8.9%の割合で、入居を拒否している賃貸人がいることが報告されているのです。
また、内閣府の「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」によると、「住まいに関して不安と感じていることがあるか」という問いに対し、36.5%の賃貸住宅層が不安が「ある」と回答しています。
具体的には、「高齢期の賃貸を断られる」が19.5%となっており、実際に高齢者の4人に1人が賃貸の入居拒否をされた経験があるという調査結果もあります。
このように、多くの大家さんが高齢者の入居に対して慎重な姿勢を示しており、高齢者が賃貸物件を探す際の大きな障壁です。

高齢者の賃貸入居を巡る現状と対策

高齢者の賃貸入居を巡る問題は、社会全体で取り組むべき課題となっています。
国土交通省は2021年10月、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定し、公表しました。
このガイドラインでは、孤独死を含む自然死や日常生活の中での不慮の死などの場合は告知不要とするなど、一定の基準を示しています。
これにより、大家さんの不安を軽減し、高齢者の受け入れに前向きになることが期待されています。

高齢者は審査に通りづらい

高齢者は審査に通りづらい

高齢者が賃貸物件を契約する際、審査が通りにくいと感じることが多いのではないでしょうか。
その背景には、健康状態、家賃の支払い能力、保証人の有無といった要因が影響しています。
ここでは、高齢者が賃貸物件の審査で直面する主な問題について解説します。

健康面

高齢者の健康状態は、賃貸契約において重要な要素とされています。
年齢を重ねると、持病や体調の変化が生じやすく、緊急時の対応が必要となるかもしれません。
とくに、一人暮らしの高齢者の場合、急病や事故が発生した際に迅速な対応が難しく、大家さんはそのリスクを懸念します。
また、健康状態が悪化し、入院や介護施設への入所が必要となった場合、賃貸契約の継続が困難になる可能性があります。

家賃滞納

高齢者の多くは年金を主な収入源としていますが、その金額は限られており、予期せぬ出費が発生した際に家賃の支払いが滞る可能性があります。
大家さんはこの点を懸念し、高齢者の入居をためらうかもしれません。
また、収入が固定されているため、家賃の引き上げや物価の上昇に対応することが難しく、長期的な支払い能力に不安を感じる場合もあります。
このような理由から、大家さんは高齢者の入居を慎重に検討することがあります。

保証人

賃貸契約において、保証人の存在は重要な要素となります。
しかし、高齢者の場合、親族や知人が高齢であったり、既に他界していることが多く、適切な保証人を見つけることが難しい状況があります。
そのため、大家さんは高齢者の入居をためらうことがあるのです。
また、保証人が見つかったとしても、その保証人自身が高齢であったり、収入が限られている場合、保証能力に不安を感じることがあります。
このような場合、大家さんは高齢者の入居を慎重に検討することがあります。

高齢者が賃貸借契約を結ぶコツ

高齢者が賃貸借契約を結ぶコツ

高齢者が賃貸物件を借りる際、年齢を理由に入居を断られるケースが増えています。
しかし、適切な対策を講じることで、スムーズに物件を見つけることが可能です。
ここでは、高齢者が賃貸物件を借りる際のポイントについて解説します。

シニア相談可の物件を探す

まず、高齢者の入居を歓迎する「シニア相談可」の物件を探すことが重要です。
これらの物件は、高齢者の生活に配慮した設備やサービスが整っており、安心して暮らすことができます。
たとえば、バリアフリー設計や緊急時の対応が可能な体制が整っている物件が多くあります。
不動産情報サイトや専門の不動産会社では、「シニア向け」「高齢者歓迎」といった条件で検索できる機能が提供されていることも少なくありません。
これらのサイトを活用することで、自分に適した物件を効率的に見つけることができます。
また、地域の福祉施設や自治体の住宅支援窓口でも、高齢者向けの賃貸情報を提供している場合があります。
さらに、物件選びの際には、周辺環境も重要なポイントです。
近隣に医療機関やスーパー、公共交通機関が整っている地域を選ぶことで、日常生活の利便性が向上します。
とくに、緊急時に迅速な対応が可能な医療機関が近くにあると安心です。

家族の協力を得る

高齢者が賃貸物件を借りる際、家族の協力は大きな支えとなります。
まず、家族が連帯保証人となることで、大家さんの信頼を得やすくなります。
連帯保証人がいることで、家賃滞納などのリスクが軽減され、入居審査がスムーズに進むことが期待できるでしょう。
また、家族が近隣に住んでいる場合、緊急時の対応が迅速におこなえるため、大家さんの安心感にもつながります。
たとえば、急な体調不良や災害時に家族がすぐに駆けつけられる環境は、高齢者の生活を支える上で非常に重要です。
さらに、家族が定期的に訪問することで、孤独感の軽減や生活の質の向上にも寄与します。

家賃債務保証制度を活用する

高齢者が賃貸物件を借りる際、家賃債務保証制度を活用することで、入居のハードルを下げることができます。
この制度は、家賃の支払いが困難になった場合に、保証会社が家賃を立て替える仕組みで、大家さんのリスクを軽減します。
とくに、一般財団法人高齢者住宅財団が提供する家賃債務保証制度は、高齢者の入居を支援するためのものです。
この制度を利用することで、連帯保証人がいない場合でも、賃貸契約を結ぶことが可能となります。
また、保証料は家賃の一定割合で設定されており、詳細は財団の公式サイトで確認できます。
家賃債務保証制度を利用する際は、事前に不動産会社や大家さんに相談し、制度の詳細や手続き方法を確認することが重要です。
これらの対策を講じることで、安心して新たな住まいを見つけることができるでしょう。

まとめ

高齢者の賃貸借契約では、大家さんが制限を設ける場合があり、割合や条件を理解することが大切です。
審査が通りにくい理由には健康面や家賃滞納の懸念、保証人の問題が挙げられます。
契約をスムーズに進めるには、シニア相談可物件の利用や家族の協力、保証制度の活用が有効です。
これらのポイントを押さえ、安心して賃貸物件を契約しましょう。


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