賃貸物件の畳の交換費用は誰が負担する?修繕方法と費用相場も解説

不動産の知識

賃貸物件の畳の交換費用は誰が負担する?修繕方法と費用相場も解説

和室のある賃貸物件に住むと、畳を傷めてしまうのではないかと不安を抱く方はいらっしゃるかもしれません。
そのような場合には、賃貸借契約の前に畳の修繕方法や費用負担についてチェックするのがおすすめです。
そこで今回は、畳の修繕方法と畳を傷めることなく使用する方法のほか、畳交換にかかる費用相場を解説します。

畳の修繕方法・畳を傷めることなく使用する方法

畳の修繕方法・畳を傷めることなく使用する方法

和室のある生活を楽しむためには、畳の取り扱いについて知ることが大切です。
基本的な畳の修繕方法だけでなく、毎日の生活に取り入れられる使用の注意点をチェックしましょう。

修繕方法①裏返し

畳の表面のことを畳表とよびますが、この畳表を裏返す修繕方法が裏返しです。
畳表は両面を使えることから、穴などがなければ再利用できます。
畳の修繕方法にはさまざまな種類がありますが、汚れや傷が少ない場合であれば、裏返しを選択するのが一般的です。

修繕方法②表替え

畳表が傷んできたら、畳表の交換を検討しましょう。
畳表のみの交換は表替えとよばれ、裏返しとは違い畳表の新調を意味します。
畳の基礎となる畳床に大きな損傷がないものの畳表に汚れや傷が目立つ場合には、表替えで修繕するのが一般的です。

修繕方法③畳替え

裏返しや表替えでは対応しきれないほどの汚れや傷が付いた場合、畳替えが必要です。
畳替えとは畳表だけでなく畳を丸ごと交換することであり、畳の新調ともよばれます。
日常生活で畳替えが必要になるほど汚れや傷が付くことはほとんどありませんが、重量のある家具の移動などで大きく破損することがあります。

畳を傷めずに使用する方法

傷んでしまった畳については、裏返し・表替え・畳替えのいずれかが必要です。
こうした修繕には手間と費用がかかるため、賃貸物件に暮らすならば畳を傷めずに使用する方法を確認しましょう。
畳を傷めることなく使用するには、正しい掃除方法を知ることが大切です。
基本的な掃除には掃除機と雑巾を使い、畳の目を意識して丁寧に掃除しましょう。
畳の目に沿って掃除機をかけないと、畳が毛羽立って寿命を縮めてしまいます。
また、雑巾で拭き掃除をする場合には、余計な湿気を与えないために雑巾を固く絞ることがポイントです。
絞りきれていない雑巾で畳を拭くとカビの原因となりますので、雑巾を使う場合には注意しましょう。
さらに、湿度が高くなる梅雨の時期には、ダニの発生に注意が必要です。
食べかす・ほこり・髪の毛といったゴミがあるとダニが発生しやすくなるため、掃除機で毎日掃除をおこなうのがおすすめです。
このほかに、和室に座布団やぬいぐるみを置いている場合はダニの発生源となりますので、こうしたインテリア用品のお手入れもおこないましょう。

賃貸物件の畳の交換は誰が負担する?

賃貸物件の畳の交換は誰が負担する?

和室のある賃貸物件で問題となるのが、畳の交換費用の負担先です。
大家さんまたは管理会社が支払うと思っていても、実際には借主が負担しなければならないことがあります。

大家さん・管理会社が負担する場合

原則として、畳の汚れや傷について借主に責任がない場合、大家さん・管理会社の負担で畳の交換をおこないます。
畳の交換が必要になる場面として挙げられるのが、借主が賃貸物件から退去するタイミングです。
賃貸物件の退去時には借主に原状回復義務があることから、借主の負担で畳を交換しなくてはならないと考えるかもしれません。
しかし、どこまでが借主の責任かは、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルに関わるガイドライン」で一定のルールが提示されています。
国土交通省のガイドラインには法的な効力はないものの、お互いの主張が食い違い裁判になった場合、ガイドラインに沿った判決が出ることがほとんどです。
大家さんのなかにはガイドラインや民法を知らない方もいらっしゃいますが、賃貸借契約を結ぶ場合にはこうした知識を持っておくと良いでしょう。
ガイドラインによると、設備などの経年劣化や自然な損耗については原状回復の対象にはなりません。
また、借主が通常の使用の結果として生じた損耗も、借主の責任で原状回復が必要ではないとされています。
さらに、大規模な震災や借主と関連がない第三者による損耗については、借主の責任による原状回復が不要です。
具体的には、日焼けによる変色・家具を置いていた部分のへこみなどは、大家さん・管理会社の負担で畳を交換することになります。

借主が負担する場合

借主が畳の交換費用を負担する必要があるのは、借主の故意や過失によって汚れや傷が付いた場合です。
また、そもそもの汚れや傷の原因が借主になくても、放置し続けて汚れや傷が悪化した場合は、借主の負担で畳を交換しなければなりません。
具体的には、入居中に飲み物をこぼしてシミができた・重量のある家具を引きずってしまった・タバコの灰が落ちたなどの場合、借主の負担で畳の交換が必要です。
このほかに、賃貸借契約のなかに「畳の交換について借主が負担する」との文言が盛り込まれている場合、故意や過失の有無を問わず借主が交換費用を負担します。

借主負担で賃貸物件の畳を交換する場合の費用相場

借主負担で賃貸物件の畳を交換する場合の費用相場

借主の過失などで畳に汚れや傷を付けてしまった場合に備えて、どのくらい費用がかかるか把握しておきましょう。

裏返しにかかる費用相場

畳の裏返しは、畳の修繕方法のなかでも費用の負担が少ないことが特徴です。
一般的な畳1枚であれば、3,000円~5,000円が費用相場となります。
裏返しの作業には、畳表を裏返すだけでなく畳縁や畳床から糸を外す作業が必要です。
このタイミングで畳縁を新調することになるため、畳表自体は再利用したとしても一定の費用がかかります。

表替えにかかる費用相場

畳表を新品に交換する表替えは、裏返しに次いで費用の負担が少ない作業となります。
一般的な畳1枚にかかる費用相場は、3,500円~2万5,000円です。
裏返しと比較して費用相場に幅があるのは、交換する畳表の品質によって必要な費用が異なるためです。
安さだけで畳表を選ぶとすぐに傷んでしまうことがありますので、費用だけでなく品質を考慮することが大切になります。

畳替えにかかる費用相場

畳を丸ごと交換する畳替えは、3種類の畳修繕方法のなかでも高額になります。
一般的な畳を1枚交換する場合、必要な費用は1万5,000円が相場です。
複数枚の畳を丸ごと交換するならば、全体の費用が高額になります。
そのため、安易に畳替えを考えるのではなく、表替えで対応できないか確認することが大切です。
畳替えが必要になるのは、踏み心地が悪いほど劣化が進んでいる場合やダニが発生している場合などです。

畳にかかる原状回復費用を抑えるには?

賃貸物件の退去時には、自分で汚してしまった畳の交換を求められる場合があります。
しかし、重度の汚れがあったとしても、住宅用洗剤で汚れがある程度落ちるかもしれません。
また、カビが発生している部分については、アルコール消毒液による拭き取りが有効です。
無理のない範囲でクリーニングをおこなえば、汚れの程度によっては費用負担を抑えられるでしょう。
ただし、拭き掃除で汚れが悪化しないように、水拭きした後にはドライヤーなどで乾燥させることが大切です。
さらに、重曹を畳掃除に使うと黒く変色してしまうため、重曹の使用は控えましょう。
このほかに、原状回復で業者を選べる場合には、予算に合わせて業者を探すことが費用を抑えるポイントです。

まとめ

畳には、裏返し・表替え・畳替えといった修繕方法があります。
借主の故意や過失がなければ畳の交換は大家さん・管理会社が負担しますが、タバコの焼け焦げなど借主に責任がある場合には借主が負担します。
借主の負担で畳の修繕や交換をおこなう場合の費用相場もチェックして、和室のある賃貸物件での生活を考えてみてください。


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