日本において過去最も大きな相続は誰?
人が亡くなったとき、どんな人にも発生する相続ですが、今回は日本史上、最も大きな相続について書いていこうと思います。
それは、平成元年4月27日、94歳でこの世を去った方でした。今もなお、日本の経営の神様と呼ばれ、有matchホームの地元である門真、守口にとても縁のある方です。
はい、松下電器(現パナソニック)創業者『松下幸之助』さんです。
幸之助さんが亡くなられた時、保有していた財産は、なんと2400億円。史上最高額の相続が発生しました。
幸之助さんは、企業というものは利益を出して税金をしっかり納めることが社会貢献の基本と考えていたので、遺言書もなければ、当然、相続対策などしていませんでした。
幸之助さんには、むめのさんという配偶者がいました。当時93歳。そしてむめのさんとの間には、68歳の一人娘がいました。
実は、むめのさんとの間以外に5人の子共がいました(今の時代では考えにくいですが・・・)ので、妻むめのさんと、子供6人が相続することになったのです。
相続割合は、配偶者が2分の1、子供が2分の1となりますので、1200億円をむめのさん一人に、そして子供6人で1200億円を相続しました。
さて、子供たち6人で支払うべき相続税はいくらになるでしょうか。なんと合計で850億円。しかも現金一括払い!当時の最高税率は70%だったので、物凄い額になりました。
幸いにして、幸之助さんの資産のほとんどが有価証券、松下電器の株でした。これを売って現金にして支払ったそうです。
では、配偶者であるむめのさんは、相続税としていくら支払ったでしょうか。
子供たちと同じ金額の850億円でしょうか。
答えは、0円です。
相続には、配偶者の税額軽減というものがあり、以下の2つのどちらか大きい額までは、配偶者の相続税がかからないのです。
①1億6000万円
②配偶者の法定相続分相当額
今回、配偶者であるむめのさんの法定相続分が2分の1ですから、1200億円。したがって、②の法定相続分相当額までは課税されなかったんです。
この場合、懸念されるのはむめのさんが亡くなられた時の二次相続ですが、生前贈与や寄付などを行い、亡くなられた4年後の相続財産は56億円になっていたそうです。
私はこの相当額の大きさも凄いと思いましたが、企業にとって利益を出して税金を収めることが社会貢献の基本という考え方に感服しました。
やはりこれだけの遺産の残された方。人間の大きさを感じた次第です!