その世とこの世
先日、イオンにある未来屋書店に寄ったときに、ふと目に止まったタイトルで、ピンとくるものがあったので購入した本があります。
その名も、『その世とこの世』。
詩人の谷川俊太郎さんが詩を、ライターのブレイディみかこさんが散文を、それぞれ手紙によって文通するという企画で、その手紙のやりとりが一冊の本になっています。
あの世ではなく、その世?という疑問から手にしました。
「その世とこの世」という言葉は、谷川俊太郎さんの詩の中に出てきます。
あの世とこの世が真っ二つに分かれているのではなく、その間には「その世」というものがある。
それは、生きている間にふと感じるものであったり、常に側にあるものであったり、時間軸や空間軸を俯瞰してみたときに見えるものだったり・・・。
言葉では言い表せない何か、科学的な根拠でも現せない、そんな何かが『その世』なのだと、私自身は感じました。
そして、『知らないあの世を懐かしむ』という言葉が出てきますが、なぜか、この言葉が自然にじわっと、なんの疑いもなく入ってきました。
生まれてくると、必ず死はやってきますが、死が終わりではなく、死んだ後も含めて人生と呼べるのではないか?
そんな感覚が自分の中にあることに、改めて気づくような、そんな詩と散文の素敵な本した。
皆さんにも、人それぞれの『その世』がきっとあるのではないでしょうか。