奈良で弘法大師 空海の魅力を存分に味わえます
先日、奈良国立博物館で開催している『空海 生誕1250年記念特別展』を見て参りました。
インドで誕生した密教は、海と陸のシルクロードを通り、中国へ伝わりました。そして、仏の教えを求め中国に渡った空海は、唐の高僧、恵果と出会い、密教に魅了されます。
遣唐使として、20年中国で勉強するはずだった空海ですが、この恵果との出会いによって、わずか2年で帰国するのです。それは考えられないスピードで密教の教えを習得したこと。それにより、早く日本に広めたいという思いに駆られたこと。ここに天才空海が伺えます。
日本へ帰った空海は、国や苦しむ人々を守り救うために、ひたすら真理の教えを広めたのです。
密教を国中に広げるため、空海は朝廷へ「弘法大師請来目録」を提出しますが、その中でこのように述べています。
■この法はすなわち諸仏の肝心、成仏の径路なり。(この密教はすなわち諸々の仏の最も重要な事柄であり、成仏の筋道である)
■密蔵深玄にして翰墨に載せ難し。更に図画を借りて悟らざるに開示す。
(密教は深遠なもので、文字では全てを伝えられない。そこで図や絵を用いて、悟らない人に開き示すのだ)
■法は本より言なけれども、言にあらざれば顕れず。真如は色を絶すれども、色を持ってすなわち悟る。
(真理はもとより言葉を離れたものだが、言葉がなくては真理を表すことができない。絶対的な真理は現象界の物を超えたものだか、物を通じて初めて真理を悟ることができる)
特に、最後の言葉がなくては真理を表すことができない、物を通じて初めて真理を悟ることができるというのは、本当に頷けますね。
思っているだけではなかなか相手には伝わらない。また、いくら言葉で伝えていても、物がなければわからないことも多々あります。その手間隙かけることこそが、思いの現れであり、だからこそ、少しでも相手に伝わるものかもしれません。
空海の天才的な才能もそうですが、深い探究心と大胆な行動力に魅了されました。
6月9日まで開催しています。
よかったら一度、空海を感じて見てください。