『記憶の配当』が人生を豊かにする
皆さん、おはようございます。
ビル・パーキンス著(児島修 訳)、『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね。)』を読みました。
お金を上手に増やす資産形成術を教える本は世の中に溢れていますが、資産を使うことの意味や目的に特化した本は大変珍しいです。
ZEROで死ぬというのは、資産を使い切って最期を迎えるという意味ですが、その背景に著者は、人生の目的は富を最大化させることではなく、人生そのものを最大化させることであるという想いが強く表れたものなのです。
なかなか興味深いのは、経験という投資によって得られる『記憶の配当』という言葉です。
投資と聞くと、株式や債券、不動産といったものを思い浮かべる人は多いでしょう。共通することは、将来の収入を生み出すためのメカニズムと言えますね。
このアイディアを少し広げて、普段はそれを投資だとは見なしていない『経験』に当てはめてみる。投資によって得られる見返りは、金銭的なものでなくてもいいという考え方です。著者はこのような例を用いていました。
父親が娘に泳ぎ方や自転車の乗り方を教えることは、その新しいスキルを身につければ将来的に彼女が給料の良い仕事を得られると思っているからではない。その経験やその時の喜びが、瞬間の喜びだけではなく、後で思い出せる記憶という配当が得られるためだと。
旅行や様々な経験も、得られるのはその経験だけではなく、その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当も含まれますね!
そのためにはお金が必要になることも多いです。貯めること、増やすことで不安を解消することもありますが、たった一度の人生で、貯めているお金を何のために使うかが、また、貯めようとしていたお金を今しか出来ない事に使うことで、人生の質を大きく変えるのだと思います。
経験や思い出は、奪われることのない資産。その事を改めて考えさせてくれる素晴らしい本でした。よかったら一度、読んでみてください。