
歩き続ける、その先に
NHKEテレ放送の番組、こころの時代が大好きで、よく観ています。この週末は再放送でしたが、【歩き続ける、その先に】というタイトルのものを観ました。
2020年、植村直己冒険賞を受賞された、大阪在住の冒険家、稲葉香さんの物語。
稲葉さんは1973年、4人家族の次女として東大阪市に生まれます。幼い頃から走るのが好きな活発な女の子でした。
決して裕福とは言えない家庭環境。大学進学は考えず、両親の暮らしを助けたいと美容師を目指し、専門学校へ進みます。
国家資格取得のため、毎日遅くまでロット巻きなどの練習に明け暮れ、手首の関節の痛みが治らなくなり、18歳でリウマチが見つかりました。なんとか美容師として勤めたのですが、症状は悪化。2年で退職となりました。
この痛みとさよならするには「死ぬしかない」と思ったこともあったといいます。
そんな時、一筋の光を求めたのが、アジア各地の放浪でした。自分の知らない世界がどんどん見え、そしてアジアの山々を登山をしたときに、しんどさよりも楽しさや好奇心が勝る経験をしました。怖さを上回り、夢の中歩いているようだった。そんな暗闇を歩く人生から、光が差した瞬間を味わったのです。
29歳のとき「西藏チベット旅行記 河口慧海」という本に出会います。
河口慧海(1866-1945)は、日本人で初めてチベットの中心都市ラサに入った僧侶であり、慧海も重いリウマチを患う身でした。
そして、2004年にはヒマラヤ山脈に囲まれたネパールの山岳地帯ドルポへ。標高5000m先を超え、断崖絶壁。慧海の歩いた道を辿りました。
10年以上かけて、慧海が歩いた道のりを踏破。続いて、2016年ドルポ・ムスタン踏破。2019年にはドルポ越冬122日間。ついに、2020年植村直己冒険賞を受賞したのです。
稲葉さんは言います。
「いつ歩けなくなるのか分からない。そんな不安を抱えながら何故自分は登り続けるのか。それは、諦めたら全て終わる。諦めなければ無限に可能性はある。自分で探してもがかないと、見えてこないものがある。」
特に、私が感銘を受けたのは次の言葉でした。
「究極なことって意味がなくていいんじゃない?人間は意味を求めようとするやん、言葉にしようと。でも言葉にならないぐらいの、魂が震える場所っていうのをみつけられたことって、幸せだと思った。」
「実はリウマチが原動力になっていた。普通に痛くなくて歩けていたら、これだけ歩いているのかな。逆に私はこれのおかげで、おもしろい人生になっているし、これのおかげでいろんな所に歩きにいけているんじゃないかって。」
2024年には、慧海さんも足を踏み入れることが出来なかった場所に挑戦。彼女の飽くなきチャレンジは続く。
命が尽きるまで歩くのだろう。きっとその場所に行かなければ知り得ない何かを感じるために。