「自分とか、ないから。」
11月の半ばに入り、朝晩がようやく秋らしい気温になってきました。日中は相変わらず20℃を超えていますが•••。
さて、読書の秋ということで、今年も色々な本を読んでいるのですが、以前から気になっていた、しんめいPさん著『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)を読んでみました。哲学書なのに、ベストセラー。どの本屋さんにも平積み!とてつもない存在感を放っていました。
タイトルが『自分とかない』ということで、著者の名前も控えめに掲載。内容は東洋哲学を代表する、ブッダ、龍樹、老人に荘子、達磨大師や親鸞、そして空海の教えが書かれている。それぞれの章も、無我、空、道(タオ)、禅、他力、密教と仏教や東洋思想の主要概念が並んでいます。
普通に考えたら、難しそうなイメージなんですが、この本の凄さは、これらを中学生でも理解ができるぐらいの超訳。咀嚼の力がとてつもない。分かりやすさ、表現が抜群のセンスなんです。
だからといって、薄っぺらで上っ面な解釈ではなく、文章の中に、教えの核心を突いているような学びを与えてくれるのです。なので、私はまず、この著者である、しんめいPさんに興味を持ちました。
著者、しんめいPさん、なんと東京大学を現役で合格(この時点でめちゃくちゃ賢いことがわかります)。大手IT企業に入社。なんと社長直属の部署に配属になります。が、本人曰く、仕事ができない事がバレ始め、その時点で退職しちゃいます。それから、一瞬芸人としてR-1グランプリに出場するも、1回戦敗退。そのまま引きこもりに入り、東洋哲学の本を読み漁ったという。その時に書いたブログが出版社の目に留まり、本の出版に至ったのだそうです。人生、何がどう繋がっていくのかは本当にわかりませんね。
私が一番感心したのは、この東洋哲学をゆる〜く面白く、でも核心を突いて教えてくれるセンスと、それを裏付ける読書量の凄さでした。
この本を書き上げるまでに読んだ本の一部が、巻末に掲載されていました。その数、ざっと50冊以上。そしてほとんどが、仏教や哲学を専門とした先生の本。
これでもか!というぐらい努力をして、バックボーンがあるから書けるという点と、ここまで面白おかしく書けるという、著者のセンスが相混ざって、ここまでのものが出来たと思うと、心の底から感動しました。
もちろん、東洋哲学、仏教思想が、生きづらい世の中に光を与えてくれるような、希望の存在であることもとっても理解ができました。
ぜひ、ご興味のある方は一度読んでみて下さい!