読書の秋
読書の秋ということで、昭和59年に発売された、柳田邦男さん著書「事実の読み方」を読んでいます。
人間は経験が増えていくと、ついつい憶測や推測を交えて解釈をしてり人に伝えたりすることがありますが、事実をより事実としてどう受け止めるのか?をテーマにしているので、このタイトルを見て即購入しました。冒頭からなかなか面白い文書に出会いましたので、ご紹介致します。
●聞いてみないとわからない
著名な外科医のH先生は、ずり落ちそうな使い古しの靴下をよくはいている。部長の肩書きを もつ医者が、なんでゴムのバカになりかかった靴下をはくのか、傍から見ると、奇異な感じさえする。
ところが、あるとき、私はその“秘密”をH先生から直接聞くことができた。それによると、
古靴下をはくのは、手術のある日なのだという。肝臓ガンを切除するような大手術になると、午前九時に手術室に入って、緊張の立ちづめの作業が、午後四時とか五時頃まで続くことがめずらしくない。
気温を低めにした室内で、七時間も八時間も立ちっ放しとなると、足が冷えたり血行が悪くなったりするおそれがある。とくに新品のゴムのきつい靴下をはいていると、よくない。
そこでH先生が考え出したノウハウが、ゴムのゆるんだ古靴下というわけである。
H先生は、手術の臨床面で抜群のアイディアマンなので、私はかねて尊敬していたのだが、手術を完璧なものにするために、靴下にまで気を配っていると知って、やはり名医はどこか違うと 感嘆したものだった。
ずり落ちそうな靴下を見ただけでH先生の人柄を判断すると、「身なりをかまわない人」とか
「だらしのない人」と思ってしまうかもしれない。しかし、H先生から真実の話を聞くと、「だらしのない人」とは正反対に、「靴下にまで神経を行き届かせている人」「医の道に徹した人」という実像が浮かんでくる。
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物事というものは、よく聞いてみないと本当のことはわからないものの例えとして、すごく分かりますね。そう思うと、世の中は憶測だらけが飛び交っているかも知れません。
自分の目で見ること、自分の耳で聞くこと。そうやって初めて事実に近づくものですね!
急に気温が下がりましたね。
身体を大切に過ごして参りましょう。
聞いてみないとわからない。